冬は、本格的な寒さによって、木の葉や草が枯れ、動物は食べ物を蓄え、冬眠に入ります。人間も、体内の陽気、血液、必要な水分などが外へ漏れないように、しっかりと体の中に保たなければいけません。冬の薬膳は、消耗された「気」と「血」を補いながら、体内で巡らせること、そして、寒気を散らし、五臓六腑をしっかり暖めることが大事です。
【当帰羊肉湯 〜当帰とラム肉の漢方スープ〜】
1000年続く補血補腎の漢方の処方、まさに中国薬膳の代表格です。しっかり下ごしらえした上、冷蔵庫で2日間熟成させた北海道のラム肉と、血液を養う食薬「当帰」で作られた濃厚な味わいの漢方スープです。
【かぶと菊の浅漬け風サラダ】
温性のかぶはサラダにしても、体をしっかり暖められます。色鮮やかな食用菊は、目の疲れを取り、ほのかな苦みが心地よいです。
【牡蠣と山芋のふわふわ茶碗蒸し 】
山芋のこんな使い方があったなんて、とびっくりされたふわふわ新食感の茶碗蒸しです。牡蠣は、血液を養い、心神を安定させる効果があり、山芋は疲労回復の効果抜群です。
【3種干しきのこの炊き込みご飯】
天日干ししたエノキ、エリンギ、しめじの三種きのこで作った炊き込みご飯。香りだけでなく、栄養効果も倍増です。
【金柑の紹興酒コンポート】
皮ごと食べられる金柑は古くから使われる食薬です。体内の寒気を散らし、風邪予防の効果が期待できます。
【なつめと陳皮、乾姜の薬膳茶】
胃腸を丈夫にするなつめに、体を暖める乾姜、消化不良を助ける陳皮を加えた薬膳茶。なつめの甘味が体に沁みわたり、ポカポカになります。
Lala’s Check it !! 献立の薬膳的ポイント:
・じめじめした梅雨、灼熱の真夏が過ぎると、天高馬肥ゆる秋がやってくる。爽やかな秋空に移りゆくうろこ雲を眺め、さらっとした秋風を感じながら、なんて気持ちの良い季節だろうとつくづく思います。
しかし、この秋の乾燥した空気こそ、気をつけなければいけないポイントです。秋の邪気は、「燥邪」。乾燥した空気が、口・鼻から体内へ侵入すれば、皮膚がかさつき、空咳が出て、髪が抜けやすく、便秘しがちなど、体全体の乾燥を引き起こします。
・乾燥を最も嫌う臓器のは、肺です。秋は、肺を潤す効果の高い食材を使いながら、体に不足がちの水分を補う「滋陰生津」の食材を合わせます。同時に、適宜に辛味を摂ることで、肺の機能を高めます。
・中国医学では、秋の色は【白】。山芋、蓮根、ユリ根、白木耳、杏仁、梨、豆乳など白い食材が秋の乾燥を防ぎ、体に潤いを与えてくれます。
・冷たいものばかり食べてきて、疲れ気味の胃腸の調子を整えるべく、「健脾」作用の食材も多用します。
【潤う白のサラダ 〜白木耳と梨、蓮根のサラダ〜 】
秋の白い食材、みんな大集合〜!白きくらげ、梨、蓮根、松の実、ドレッシングに使ったヨーグルトなど、体を潤す効果の高いものばかりを取り揃え、さらに「甘酸化陰」という味の魔法で、体の乾燥を徹底的に防ぎます。
【浅蜊とオクラのスープ 】
浅蜊にオクラという異色なコンビで、体に残った暑熱を静め、デットクスしながら、潤いを補います。
【口水鶏〜茹で鶏の麻辣だれ 】
口水鶏(よだれどり)は、ヨダレがでるほど美味しい鶏という意味です。胡瓜で水分補給しつつ、豆板醤の辛味で食欲をそそり、肺を活性化させます。
【蓮の実と玉蜀黍、ハト麦の炊き込みご飯】
蓮の実は、蓮の花の中心部にある「花托」に入っている白い実のことです。中国では、馴染みの健康食材で、月餅の餡にもよく入っています。胃腸を丈夫にする滋養強壮効果や心神を安定させる作用があり、下痢や不眠によく効きます。むくみに良い玉蜀黍とハト麦も合わせれば、余分な水分を排出し、胃腸を元気します。
【二種類の杏仁豆腐〜金木犀の蜜かけ 】
杏仁は、杏の種です。秋の白い食材の代表格の一つです。潤す力が高く、美肌効果が期待できます。豆乳と牛乳の二種類の杏仁豆腐で、食べ比べました。牛乳はすっきりした甘さが際立ち、豆乳はまろやかで濃厚な味わいでした。お好みで、金木犀を漬け込んだお酒で作った蜜をかけ、秋の香りを杏仁豆腐に移します。
【蓮と菊花、クコの明目薬 】
楊貴妃も愛したとされる蓮のお茶をベースに、目の疲れに良い生薬―最高品の杭菊と銀夏の枸杞を合わせました。
【みんなで一緒に作った料理 】
China Salon初の企画「薬膳料理教室」。
教えてくれたのは、国際中医薬膳師の資格を持つLala老師。中国で中国医学の医師を勤めている父、薬膳料理を毎日の食卓に出してくれていた看護師の母に育てられ、幼少時代から「薬膳」に慣れ親しんできたLala老師のモットーは、「毎日食べたい美味しい薬膳」。
レッスンでは、最初に「医食同源」のコンセプトを学び、食べ物の特性や効能、季節毎に起こりやすい病気を学びました。その後は、お待ちかねの料理実習。スーパーで身近に手に入る食材で作った料理は、まさに「毎日食べたい美味しい薬膳」。みんなでチームになって6品作り、心も身体も健康になりました。
Lala’s Check it !! 献立の薬膳的ポイント:
・梅雨時期、体内にも湿気がたまり、脾の働きを悪くし、食べ物の消化、水分代謝がうまくいきません。湿気を取り除く効果の食材に、湿気を動かす“行気”効果のある食材を合わせます。
・身体の熱を冷まし、老廃物を取り除く解毒作用のある“苦味”の食材を活用します。
・汗と一緒に、身体の基本エネルギーである“気”も体外へ出てしまうため、水分と一緒に“気”を補う食材も必要になります。
【黄金冬瓜 〜冬瓜と夏草花、えびのうま煮〜】
体のほてりを取り除く冬瓜に、免疫力を高める幻の生薬“冬虫夏草”と同じ成分である“夏草花”を合わせ、 夏バテを防ぐ最高の一品。
【きゅうりとたこの梅肉あえ 】
きゅうりは体に必要な水分を補給し、梅の酸味が食欲を誘い、暑気あたりに効きます。
【苦瓜の肉詰め 青じそダレ】
薬膳では、“苦温燥湿”という考え方があり、苦瓜の“苦”味と鶏肉の“温”性で、梅雨時期体内にたまっている湿気(湿邪)を発散します。さらに、鶏肉で体内の“気”を補い、紫蘇の“行気”効果で、体内に停滞している水を動かします。
【緑豆と昆布の炊き込みご飯】
緑豆(りょくとう)は、青小豆(あおあずき)とも呼ばれ、夏の季節、中国の食卓には欠かせない食材の一つです。身体にこもっている熱を下げ、体内の老廃物を取り除きます。身体を冷やす昆布と合わせれば、体のほてりを取り除き、デドックス効果も抜群です。
【トマトのスムージー】
ひんやりシャリシャリのトマトスムージーは、食欲不振に効き、のどの渇きを解消します。免疫力を高める効果が高い食材です。
【夏草花の薬膳茶 】
夏草花の香ばしさとクコと龍眼のほのかな甘さで、体リフレッシュ。クコは目の疲れ、龍眼は不眠の症状に効きます。